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男性の更年期障害

ご存知ですか?男性の更年期。

女性の更年期障害は一般的ですが、男性にも、加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)とよばれる、更年期障害があります。s001med_165

男性更年期とは、40歳前後~60代前半の男性において、加齢や心身の過度のストレスなどが原因となって、さまざまなテストステロン(男性ホルモン)欠乏症状が生じる現象です。

こんな症状に心当たりはありませんか?

「元気が出ない」「自信が無い」
「やる気が出ない」「集中できず忘れっぽい」
「人前に出ると頭が真っ白になる」
「休み明けは仕事に行くのがつらい」…
「眠りが浅くて疲れが取れない」「やたらと寝汗をかく」
「約束をドタキャンしがちになった」
「休みは家でゴロゴロしていたい」…

「男性更年期」「LOH症候群」という言葉を、しばしば雑誌やテレビなどのメディアで目にすることが多くなってきました。

私は10年以上前から、習志野保健所(習志野健康福祉センター) にて、『男性のこころと身体の健康相談』を毎月担当し(平成20年~平成22年)、悩める中高年男性を数多く支え続けてきました。
皆様のご相談を、心よりお待ちしております。

 

加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)は、男性ホルモンの低下により、精神状態が不安定になったり、異常な発汗やほてり、めまい、性欲減退等の症状が現れる病気です。

加齢に伴ってアンドロゲンが低下することにより、アンドロゲン標的臓器の機能障害が生じます。アンドロゲンが加齢に伴って低下する機序としては、加齢に伴ってLeidig細胞の減少や機能低下が起こるという報告や、加齢に伴い間脳-下垂体系の機能異常が起こるという報告もあります。

男性更年期症状の治療は、男性ホルモン補充療法により70~80%は改善します。効果がない場合は心療内科等におけるカウンセリングなどで改善することも多く、また、鍼灸、ヨガをはじめとする代替療法も効果があるといわれております。

以下のチェックシートは、スクリーニングとして米国で広く用いられている質問です。男性更年期の目安にしてください。

男性更年期チェックシート

No

質問

はい

いいえ

1

最近、仕事の能力が低下したと感じていますか?

   

2

夕食後、うたた寝をすることがありますか?

   

3

最近、運動をする能力が低下したと感じていますか?

   

4

勃起力は弱くなりましたか?

   

5

物悲しい気分・怒りっぽいですか?

   

6

毎日が楽しいと思うことが少なくなりましたか?

   

7

身長が低くなりましたか?

   

8

体力あるいは持続力の低下がありますか?

   

9

元気がなくなってきましたか?

   

10

性欲の低下がありますか?

   

上記の質問に3つ以上「はい」がありましたら、泌尿器科の受診をおすすめいたします。
男性更年期に関するより詳しい情報の提供と、男性ホルモンに関係した血液検査が受けられます。

全身の倦怠感不眠抑うつ症状性欲の低下勃起力の低下などが認められた場合は、一度男性ホルモンが低下していないかどうかを調べた方が良いかもしれません。

というのも、抑うつ症状や不眠などは、「うつ病」と症状が類似(重複)しており、2015年12月から企業に義務化された「ストレスチェック」では高ストレスと判断されやすくなったり、男性ホルモンを測定せずに心療内科に相談すると、「うつ病」と診断される可能性があるからです。

また、男性ホルモンの低下は、生活習慣病とも関連が深いと言われています。糖尿病・高血圧・高脂血症など、いわゆるメタボリックシンドロームも、男性ホルモンの低下に伴う全身の代謝の低下が関与しているケースもあり、併せて治療が必要なこともあります。

お気軽にご相談下さい。

男性更年期検査の概要

検査内容

血液検査(肝機能・腎機能・脂質・糖・前立腺特異抗原(PSA)・テストステロン・フリーテストステロン・プロラクチン)、男性更年期チェック表にて判断します。

まずは詳細な血液検査により、実際に男性更年期障害(男性ホルモンの低下によるLOH症候群)の可能性があるかどうか、患者様の体質にどの治療法が適しているかお調べします。初回だけは、予約なしで診療時間帯のいつでも対応できます。

また、おおよその血管年齢も測定します。光電式指尖容積脈波(PPG)を測定し、それから導き出される加速度脈波(APG)で分類される7区分を6段階で測定します(APG①は20歳代、APG②は30歳代、APG③は40歳代、APG④は50歳代、APG⑤・⑥は60歳代)。

費用

血液検査 10,000円 
※価格は税別です

初回の検査のみ、自費診療となります(ホルモン検査の組み合わせなどが保険適応外となるため)。

検査の流れ

実質30分ほどあれば終わりますが、混雑状況によってはお時間を頂く場合がございます。

予約は不要です。「男性更年期検査」は、通常の診療時間帯(できれば午前中)に直接ご来院下さい。

男性ホルモン(テストステロン)検査の関係上、「男性更年期検査」を午後に受診される方は、ご希望であれば採血のために後日午前中の来院予約をお取りしております。
お帰りの際に、ご予約のご案内をいたします。

(ご注意)

男性ホルモンの値は日内変動し、午前中にピークを迎えます。
正確な検査データを得るために、体内の周期を乱さないよう、普段通りお過ごしください。
夜更かしはせず、前日の夜には睡眠をとるようにしてください。
血糖値の測定もありますので、直前のお食事はお控えください。

次回診察(結果のご説明と治療相談)

検査結果は、約2-6日後に判明となります。1週間後以降で次回の男性更年期外来の診察予約日時をお取りいたします。
ご都合が悪い場合には、お電話でご予約の変更が可能です。

次回の診察にて血液検査の結果をご説明し、男性更年期障害の治療が必要な場合、治療を開始していきます。検査の結果が出た後の男性更年期外来での受診・治療については、健康保険をご利用できます。

 

主な症状

  • 抑うつ状態になる
  • イライラする
  • 疲労感が抜けない
  • 異常な発汗がある
  • ほてりが止まらない
  • めまいや頭痛がすする
  • 良く眠れない
  • 性欲があきらかに減退した
  • 勃起しなくなった

アンドロゲンは多くの重要な生理作用をもつため、その低下により多様な症状、徴候が現れます。

男性ホルモンの作用

アンドロゲンの標的臓器は多彩であり、それぞれで多くの重要な生理作用をもちます。

治療

薬物による治療が一般的です。ホルモン補充療法(飲み薬、はり薬、筋肉注射による)や漢方薬による治療があります。

ホルモン補充療法

国内外で使用されている男性ホルモン剤

(カナの商品は我が国で使用可能)

本邦では、投与回数の少ないtestosterone enanthateが多く用いられています。

今後のさらなる高齢化社会の到来に向けて、男性性腺機能低下症に対する診断、治療が重要性を増していくことは明らかです。その中心となるべきアンドロゲン補充療法に関しても、海外ではゲル剤などの簡便な投与方法が広まっているのに対し、本邦ではいまだ立ち遅れている感が否めません。

アンドロゲン補充療法(ART)の副作用

  1.  心血管系疾患
  2.  脂質代謝異常(HDLコレステロールの低下)
  3.  多血症
  4.  肝毒性
  5.  睡眠時無呼吸症候群
  6.  ざ瘡
  7.  体毛増加
  8.  潮紅
  9.  体液貯留
  10.  女性化乳房
  11.  精巣萎縮
  12.  男性不妊症
  13.  気分、行動の変化

アンドロゲンの多彩な生理作用のため、その副作用も多様です。

ホルモン補充療法と前立腺疾患との関係

 前立腺肥大症と前立腺癌はともにアンドロゲンにより増殖を受けますが、アンドロゲン補充療法(ART)によりこれらの発生リスクが増すかどうかについての結論は出ていません。

 これまでARTについての22の臨床試験(45~89歳までの583例を対象)があり、うち16試験ではARTに伴うPSAの上昇を認めませんでした。6試験ではPSA上昇を認めていますが、その変化は平均0.48ng/ml、上昇速度(PSA velocity)は平均0.52 ng/ml/yearでした1)。7試験では前立腺重量、最大尿流率、国際前立腺症状スコア(International Prostate Symptom Score; IPSS)に変化を認めず、短期間(最長3年)ではARTの前立腺への影響はほとんどないとしています2)。ただし、これら前立腺疾患の自然史は長いため、長期的影響には注意が必要です。本邦におけるARTの除外基準()と、ARTの開始、継続におけるPSA監視基準()を示します3)

アンドロゲン補充療法(ART)の除外基準

  1.  前立腺癌
  2.  治療前PSAが2.0ng/ml以上 ただし2.0ng/ml以上4.0ng/ml未満では慎重に検討
  3.  中等度以上の前立腺肥大症
  4.  乳癌
  5.  多血症
  6.  重度の肝機能障害
  7.  重度の腎機能不全
  8.  うっ血性心不全
  9.  重度の高血圧
  10.  夜間睡眠時無呼吸

これらの疾患や状態に該当する場合は、ARTを行うことはできません。

ART開始、継続におけるPSA監視基準

ARTにより前立腺癌の発生リスクが増すかどうかについての結論は出ていませんが、その早期発見のために適切なPSA監視が重要です。

  1. Morales A: Androgen replacement therapy and prostate safety. Eur Urol, 41: 113-120, 2002
  2. Morales A, Johnson B, Heaton JPW, et al: Testosterone supplementation in hypogonadal impotence: assessment of biochemical measurements and therapeutic outcomes. J Urol, 157: 849-854, 1997
  3. 加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き.日本泌尿器科学会、日本Men’s Health医学会、「LOH症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会編, じほう, 東京, 2007.

男性更年期の漢方治療s001med_023

 男性更年期の西洋医学的治療としては低下した男性ホルモンの補充療法が考えられ、注射剤としてエナント酸テストステロン、内服薬としてアリキル化製剤などがあります。ただし、注射剤は以前は保険適応の問題があり、また前立腺癌発生促進のリスクが増すかどうかについての結論は出ていません。一方、内服薬は吸収も悪く、肝機能障害の危険性もあり、実際にはほとんど使用されません。精神・神経症状については、ストレスに耐えうる自律神経を調える目的で、生活指導としての運動療法やリラクゼーション法が行われています。薬物療法としては抗うつ薬が用いられますが、長期服用、有害作用、有効性を総合して考えると、漢方治療の有用性も高いと考えられます。

 漢方医学では、男性更年期は生殖機能が低下した腎虚の状態であると考え、これに生体エネルギーの源となる気の不足が伴っていると考えます。また、老化によって瘀血が生じ、同時に前立腺肥大症や膀胱機能の低下によって水毒が起こります。さらに基礎体力の低下から消化吸収機能、免疫機能、精神活動などのすべてが低下する脾虚が起こり得ます。

  • 男性更年期の漢方医学的概念
     腎虚:生殖機能の低下
     瘀血:血流のうっ滞
     水毒:水分の停滞
     脾虚:精神活動の低下、体力の低下

 腎虚には通常、補腎剤の八味地黄丸、牛車腎気丸などが用いられます。これらの有害作用として、地黄による胃腸障害と一種のアレルギー反応とも思われる蕁麻疹があり、注意が必要です。

 脾虚には補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯が用いられます。補中益気湯は、体力低下に精神的落ち込みである気虚が加味されている例に適しており、消化器症状や内臓下垂体質に向いています。十全大補湯は、体力低下に加えて貧血気味を表す血虚がある例に有効といわれます。人参養栄湯は体力低下があって、特に手足の冷えがある例に有用とされます。

 ストレスによる精神・神経症状を標的にする場合、気逆タイプのイライラ型には柴胡加竜骨牡蛎湯がよいとされます。不安型には桂枝加竜骨牡蛎湯が、気うつタイプで抑うつ傾向のある神経質な例には半夏厚朴湯が有効であるといわれています。さらに、不眠があってイライラする例には抑肝散加陳皮半夏が、健忘のある例には加味帰脾湯がよいとされます。

 その他、勃起障害には八味地黄丸や牛車腎気丸が、精神的要素の強い勃起障害には柴胡加竜骨牡蛎湯や桂枝加竜骨牡蛎湯が用いられます。

 ほてりや瘀血を思わせる症状には駆瘀血剤である当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桂枝茯苓丸、やや便秘気味の例には桃核承気湯、大黄牡丹皮湯が有効とされます。

文献的考察と今後の展望

5つのRCT(計1212例)に関する2017年のメタアナリシスでは、アンドロゲン補充療法が諸種の健康関連QOLを有意に改善しています(Andrologia 49: 4, 2017)。また2016年にタイのPermpongkosolらは、5-8年間の継続的アンドロゲン補充療法を受けた120例の解析で、長期アンドロゲン補充療法の安全性と肥満関連因子是正の有効性を報告しています(J Sex Med 13:1199, 2016)。さらにOkadaらの、加齢に伴う男性の性腺機能低下症60例の解析では、アンドロゲン補充療法が下部尿路症状、特に蓄尿症状の改善にかなり有効であったとしています。2017年の本邦多施設調査では、計35施設において性腺機能低下関連症状で受診する患者の62.3%が、加齢に伴う男性の性腺機能低下症としての治療を受けており、治療もアンドロゲン補充療法のみでなく漢方製剤によるものも含まれていました。また治療有効性は30%-80%と開きがあり、治療期間を含め、加齢に伴う男性の性腺機能低下症に対する診療形態にはかなりの多様性がみられています(Am J Mens Health 11:376, 2017)。

今後さらなるエビデンスの蓄積によって、より選択された患者への、より適切なタイミングでのオーダーメイド型治療法の開発が期待されます。

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