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膀胱炎についての質問

<膀胱炎になるとどんな症状が出ますか?>

【膀胱炎の症状について】

〈頻尿〉

尿意を催しトイレに行く回数が増加します。 症状の強い時は、10分前後の間隔でトイレに行くことも少なくありません。 1回で出る尿の量は少なくなります。 排尿後もまだ残ってる感じ(残尿感)もあることが多いです。

〈排尿痛〉

炎症を起こした膀胱が、排尿により急激に縮まり刺激されるために排尿痛があります。 排尿の途中よりも、排尿の後半または終了後に痛む事が多いようです。 下腹部や尿道口の痛みとなります。

〈尿混濁〉

膀胱炎になると、細菌が尿の中で増殖し、白血球や炎症を起こした膀胱の粘膜がはがれたりして尿が白濁します。 尿に膿のようなドロッとしたものが混在します。臭いもきつくなることが多いようです。

〈血尿〉

細菌に膀胱粘膜が傷つけられて、目で見て分かるほどの血尿が出ることもあります。 血尿は、出始めから出終りまで同じ濃さではなく、膀胱がからっぽになる最後に強くなる、排尿終末時血尿のことがほとんどです。

「膀胱炎の症状」には、このような排尿痛・残尿感・下腹部痛・頻尿・尿混濁・血尿などがあります。

これらの症状があっても病院に行かないで我慢していると、排尿しないときにも下腹部が痛むようになってしまいます。膀胱炎では通常、熱は出ませんが、熱が出たり、腰痛があったりする場合は、細菌が腎臓の腎孟まで炎症が広がり、腎孟腎炎になっている恐れがあります。

<膀胱炎の種類にはどんなものがありますか?>

〈単純性膀胱炎〉

単純性膀胱炎は、機能的・形態的に尿路に異常のない人の膀胱炎です。 単純性膀胱炎は、女性では尿意を我慢したり、冷えや月経が原因で起きることがあります。 また妊娠や便秘、性交渉などが誘因となって起こります。 単純性膀胱炎の症状には、頻尿や残尿感などです。

〈複雑性膀胱炎〉

複雑性膀胱炎は、尿路に尿停滞、異物、持続的細菌源、あるいは全身的抵抗力の低下などの基礎疾患を有する慢性膀胱炎です。 複雑性膀胱炎は、これら基礎疾患を除去しなければ感染症は治癒しないことが多いといわれています。 また、複雑性膀胱炎には、しばしば複数菌感染がみられます。

〈間質性膀胱炎〉

間質性膀胱炎は、何らかの原因で膀胱の粘膜の内側の層に炎症が起き、筋肉が萎縮する病気です。通常、膀胱には200~400mlの尿が溜まると尿意を覚えますが、この間質性膀胱炎になると膀胱が膨らまないため、100ml以下で一杯になります。 そして、尿が溜まると下腹部が激しく痛み、トイレに行く回数がとても多くなります。間質性膀胱炎の診断は、膀胱鏡で膀胱の内部を観察することが必要になります。間質性膀胱炎について詳しく教えて下さい。

〈嚢胞性膀胱炎〉

嚢胞性膀胱炎は、膀胱粘膜に袋状の病変が発生します。

〈真菌性膀胱炎〉

真菌性膀胱炎は、真菌(かび)の感染によって膀胱が炎症を起こすものです。

<膀胱炎の治療はどのようなものがあるのでしょうか?>

急性膀胱炎(細菌性)では、水分を十分に摂取して尿量を増すことにより、症状が緩和されます。でも、膀胱炎には過度のアルコール(ビールやワイン)の摂取はひかえましょう!

最もおすすめの膀胱炎の治療は、抗生物質の力を借りることです。

膀胱炎の原因となっている菌を死滅させる抗生物質を服用すれば、三日以内で症状はとれてきます。膀胱炎は膀胱内壁の細菌繁殖とそれによる炎症なので、まずは大腸菌など膀胱内部で繁殖している細菌を死滅させる事が肝要です。抗生物質は膀胱炎治療には効果が大変高く、通常は飲み始めてから遅くとも一週間以内には嘘のように膀胱炎が治まります。

<膀胱炎の予防としてできることはありますか?>

〈トイレを我慢しない〉

水分を多めにとって、なるべくトイレに行き、尿と一緒に菌を外に出すようにしましよう。

〈身体の抵抗力・免疫カを落とさない〉

ストレスや過労、過激なダイエットは避けましょう。

★下半身を冷やさないことも膀胱炎予防になります。

★食事も栄養バランスの摂れたものにし免疫力を高めましょう。

〈陰部を清潔に〉

生理用ナプキンやおりものシートは、3時間以内に変えて清潔な状態を保ちましょう。

排便後には多少なりとも肛門とその周囲には大腸菌が付着しています。紙で拭く際には、後ろから前(肛門→尿道)へ拭くと尿道に菌が入りやすくなってしまいます。日頃から「前から後ろへ」拭くように心掛けて菌が尿道に入らないようにしましょう。

また便秘気味の人も膀胱炎になりやすいと言われますので、長期便秘にならないように気をつけましょう。

〈性行為後はトイレヘ〉

性行為中は細菌が尿道に侵入しやすい状況で、万一入っても排尿すると菌も一緒に流れます。同時に、陰部を軽くシャワーなどで洗い流していただくと更に膀胱炎の予防に効果的です。

「膀胱炎かな?」と思ったら、早めに病院に行くことが大切です。どうしてもすぐに受診できないという人は、温かい飲み物をたくさん飲んで、1時間おきぐらいにトイレに行き、膀胱を洗うようにしましょう。

また、腰を冷やさないようにし、しっかり休養して体力を落とさない事も大切です。女性の場合、ホルモンの低下や冷えによって、膀胱炎を繰り返してしまうことが多いので、漢方薬の治療を希望する人もいます。漢方薬局などで相談してみて下さい。

<薬の服用で症状は軽快しました。再診するようにいわれていますが、その必要はありますか?>

薬の服用が終わったら、再び尿検査を受け、膀胱炎が完治していることを確認しましょう。再発を繰り返さないためには確実に治しておくことが大切です。薬を服用してもなかなか症状が良くならない場合には、あらためて細菌を培養して、細菌の種類や薬との相性をチェックします。最近、耐性菌と呼ばれる抗菌薬の効きにくい細菌が増えています。完全に治るまできちんと治療して下さい。さらに、膀胱炎の誘因となる病気について検査を行う場合もあります。

<膀胱炎の背後に、重大な病気が隠れていることはありますか?>

膀胱炎の背後に、重大な病気が隠れていることがあります。特に、男性の膀胱炎では、前立腺肥大症や膀胱癌が潜んでいる可能性があります。女性でも、膀胱炎を繰り返す場合や、なかなか治らない場合には、腎臓や膀胱の病気に注意が必要です。専門の泌尿器科医の診察を受けるようにしましょう。 

間質性膀胱炎について教えて下さい>

間質性膀胱炎とは、原因不明の膀胱痛を伴う非細菌性萎縮性膀胱炎です。膀胱に慢性炎症が起こり、排尿回数が多くなる(頻尿)、尿意を強く感じる(尿意亢進)、尿意を我慢することが難しい(尿意切迫感)、膀胱の痛みや不快感を感じるなどの症状を呈する疾患です。女性に多く(男女比は1:5.6と、女性、特に中年以降の女性に多いですが、男性や小児にもみられます。)、男性は慢性前立腺炎を合併することがあります。頻度は人口の1%で、原因はよくわかっていませんが、膀胱の粘膜を覆っている細胞の機能障害や免疫系の異常が疑われています。食事習慣(酸、カリウム、刺激物)など環境因子が症状増悪因子とされています。

症状が強くなると、1時間に何度もトイレに行く、膀胱に強い痛みを感じる、痛みが膀胱だけでなく尿道や下腹部全体に広がる、などとなります。その結果、生活に非常に大きな支障を来たし、精神的にも大きな負担となります。

その病型はハンナ型(ハンナ病変を有するもの)と非ハンナ型(有しないもの)に大別され、ハンナ型は内視鏡的にも病理学的にも明確な異常所見を有し、症状的にもより重症です。

間質性膀胱炎(ハンナ型)は、指定難病であり、重症の場合などで申請し認定されると、保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成されます。

検査・診断

症状が他の原因によるものではないことを確かめるため、まず尿検査や尿培養検査を行って感染がないかを調べます。わが国では、症状、膀胱鏡所見(ハンナ病変など)、他の疾患の否定、の3要件を診断基準としています。治療に奏功しない6週間以上続く膀胱の不快感、圧迫感、疼痛を認め、麻酔下で経尿道的に15分ほど膀胱を充満させて、膀胱鏡下に膀胱粘膜を観察し新生血管の集簇などの異常粘膜を認める場合に診断されます。特徴的な膀胱鏡所見として、膀胱上皮のびらん(ハンナー潰瘍)や、膀胱水圧拡張時の五月雨状出血や点状出血を認めることがあります。膀胱鏡でハンナ病変がみられるものは、ハンナ型間質性膀胱炎に分類されます。

正常な膀胱粘膜

ハンナ病変

治療

根本的な治療法はありません。内視鏡を使ってハンナ病変を電気で焼けば症状がかなり改善します。必要であれば、何度か繰り返すこともできます。ほかには、症状を和らげる方法として鎮痛剤や神経の興奮を抑える薬を使うことがあります。膀胱の中に薬を入れる方法もあります。

〇 生活指導

精神的ストレスの緩和、刺激物(酸性飲料・コーヒー・香辛料・アルコール・柑橘類)を避ける食事指導、などが大切です。

〇 内服治療

鎮痛薬、神経の興奮を抑える薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、ステロイドなどが用いられます。

〇 膀胱水圧拡張術・病変の切除・焼灼

麻酔をかけたうえで、膀胱鏡で膀胱内を観察しながら水で膀胱を拡張します。ハンナ病変を認める場合には、内視鏡下に病変部を電気焼灼します。膀胱内への薬物注入治療として、ヘパリン、DMSO(ジメチルスルホシド)、ステロイドなどが用いられます。多くの方で症状が改善されますが、半年から一年程度で症状が再燃してくることが多いのが実情です。2010年から保険適応になっています。

多くの患者さんで、上記の治療によって症状は改善しますが、完全に良くなることは難しく、仮に良くなっても再発することも多いです。そのため、経過観察を続けることが必要となります。

間質性膀胱炎は一般的にはあまり認知度が高くない疾患です。そのため、間質性膀胱炎の診断に至らず、難治性膀胱炎として十分な治療を受けていない患者さんもいることと推測されています。

重症のハンナ型間質性膀胱炎は、2015年に難病に指定されました。医療費助成を受けることができます。

 

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